2015年3月24日火曜日

フランシス・F・コッポラとゾーエトロープ

 回転する円盤を使ったフェナキストスコープやヘリオシネグラフの次に現れたのは、ゾーエトロープ(回転のぞき絵)という装置だ。これは円盤ではなく円筒を使うのだが、周囲に細いスリットが入っている。これをターンテーブル(回転台)の上でぐるぐる回すことで、内部に配置されている絵が動画になって見える。

 円盤形の装置ではスリットと絵が常に同じ方向に移動しているのだが、ゾーエトロープではスリットと絵が必ず逆方向に動くようになる。スリットが左から右に移動すれば、対面に配置されている絵は右から左に移動する。

 この手の動画装置では、スリットによって作り出されるシャッターの解放時間を短くすればするほど、鮮明な動画が作り出せる。

 そのための方法は2つある。ひとつは装置の回転を速くすることだ。こうすればスリットが目の前を通り過ぎる時間が短くなって動画は鮮明になるが、それによって動画の再生時間も短くなってしまう。

 もうひとつはスリットの幅を狭くすることだ。スリットの幅を半分にすれば、シャッター速度は2分の1に短縮されてより鮮明な動画が得られる。だがスリット幅が狭くなればなるほど、今度は取り込む光量が少なくなって画面が暗くなっていく。

 ゾーエトロープは装置を円筒形にすることで、円盤形の装置のこうした欠点を克服した。スリットの移動と同時に絵はその逆方向に移動するので、ひとつのスリットの前を絵が通過する時間はずっと短くなる。スリットの幅は同じなので、光量不足も起きない。


 ゾーエトロープは1834年にウィリアム・ジョージ・ホーナー(1786〜1837)というイギリスの数学者が発明した。当初は「ディーダリウム」と名付けられたが、アメリカに紹介される際にゾーエトロープという名前になり、今ではそちらがよく知られている。

 円筒形の装置を作るのは少々面倒だが、中に入れる絵は帯状のものを丸めて放り込むだけなので、動画ソフトの供給という点では円盤形のフェナキストスコープやヘリオシネグラフよりかさばらない。

 映画監督のフランシス・フォード・コッポラは若い頃にこのオモチャの存在を知り、自分の映画製作会社に「アメリカン・ゾエトロープ」という名前を付けた。

 スリットを使ったアニメーションはオモチャとしては滅びたが、今でも地下鉄の窓から見える広告などに利用されることがあるようだ。

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